大府の家
40代夫婦と猫が暮らす住宅である. 建築当時は30代夫婦も,10年経ち,住宅もさらに風合いを増している.
敷地は名古屋近郊の高台にある.周囲は昔からの住宅地であり,その周りはブドウ畑が広がる緑豊かな環境である.
建物はL型の配置とし,アプローチと兼ねて庭を広く設けている.庭を眺めながら歩き,玄関までの引きを長く確保することで,住宅内部への期待感や高揚感を高める効果もある.玄関はガラス張りとし,背後の隣地の緑をも借景にしている.アプローチで感じた緑の空気感はそのまま土間である玄関に入り込み,内部へ引き込まれる.
内部仕上げは,経年変化の味わいを増すよう,自然素材を多用している. 床は無垢のナラ材,壁は珪藻土,天井は構造材表しのとし、造作の木製建具を配している. 半外部のような玄関は,普段の居住空間と離れの個室をさりげなくわける. ほんの数歩の空間が,気持ちを切り替える開放的な場所となっている.
内外のすべての壁は同色とし,内外の連続性を意識している.
夜は数カ所のスポットライトだけで過ごす. 濃い色味の木部と味わい深い珪藻土の壁が,日々の仕事や生活の疲れをときほぐし,気持ちをゆったりと沈めてゆく.随所に設けた開口部からは敷地内の2種類の庭だけでなく,隣家の緑,遠方のブドウ畑が眺められる. 落ち着いた空間に緑の匂い溢れた住宅となった.
【概要】
用途:専用住宅
敷地面積:230.67㎡
建築面積:79.92㎡
延床面積:113.45㎡
構造:木造在来軸組工法
階数:2階
設計期間:2004.05~2004.11
施工期間:2004.12~2005.04
設計監理:オカダ建築設計事務所 担当 / 谷口みのり
施工:株式会社オカダ
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